ロゴス(論理) パトス (感情) エートス(性格)による説得の技術。

弁論術

弁論術

アリストテレス    
相澤康隆  訳   
討論、プレゼン、交渉に必須!
作品
説得力のある言論の考察を通じて、単なる経験則にとどまらない、説得の技術としての弁論術を論じた書。善や美、不正などの概念を定義し、すぐれた洞察力で人間の感情と性格を分類。比喩などの表現についても分析し、考察を深める。後世に多大な影響を与えた、現代人必須の説得術。
内容
論理学、倫理学、政治学、詩学など、アリストテレスの哲学体系における多方面の主要分野への橋渡しの役目を果たす著作は本書をおいてほかにない。その意味では、『弁論術』はアリストテレス哲学の最良の入門書である。(訳者)
目次
  
弁論術
凡例
訳者まえがき
  • 第一巻 弁論の種類、各種の弁論に役立つ命題
  • 第二巻 感情と性格に関する命題、共通の論点と共通の説得方式
  • 第三巻 弁論の表現と配列

第一章 先行研究の批判

第二章 弁論術とは何か

第三章 三種類の弁論

第四章 助言弁論 (一) 総論

第五章 助言弁論 (二) 幸福

第六章 助言弁論 (三) よいもの

第七章 助言弁論 (四) より大きな善

第八章 助言弁論 (五) 国制

第九章 演示弁論

第一〇章 法廷弁論 (一) 総論

第一一章 法廷弁論 (二) 快いもの

第一二章 法廷弁論 (三) 不正を犯しやすい状況と不正を犯す相手

第一三章 法廷弁論 (四) 不正行為の分類

第一四章 法廷弁論 (五) より大きな不正行為

第一五章 法廷弁論 (六) 証人等の利用法

第一章 感情 (一) 総論

第二章 感情 (二) 怒り

第三章 感情 (三) 穏やかさ

第四章 感情 (四) 友愛と憎しみ

第五章 感情 (五) 恐れと安心

第六章 感情 (六) 恥ずかしさと厚かましさ

第七章 感情 (七) 感謝と無感謝

第八章 感情 (八) 憐れみ

第九章 感情 (九) 義憤

第一〇章 感情 (一〇) 妬み

第一一章 感情 (一一) 競争心

第一二章 性格 (一) 若者

第一三章 性格 (二) 老人

第一四章 性格 (三) 壮年期の人

第一五章 性格 (四) 家柄のよい人

第一六章 性格 (五) 金持ち

第一七章 性格 (六) 権力のある人と幸運な人

第一八章 三種類の弁論に共通の論点 (一) 総論

第一九章 三種類の弁論に共通の論点 (二) 各論

第二〇章 例証

第二一章 格言

第二二章 説得推論 (一) 総論

第二三章 説得推論 (二) 真の説得推論のトポス

第二四章 説得推論 (三) 見せかけの説得推論のトポス

第二五章 説得推論 (四) 説得推論の反駁

第二六章 説得推論 (五) 説得推論に関する補足

第一章 表現 (一) 総論

第二章 表現 (二) 優秀さ

第三章 表現 (三) 拙さ

第四章 表現 (四) 直喩

第五章 表現 (五) 正確なギリシャ語

第六章 表現 (六) 重厚さ

第七章 表現 (七) ふさわしさ

第八章 表現 (八) リズム

第九章 表現 (九) 文体と構文

第一〇章 表現 (一〇) 面白み (その一)

第一一章 表現 (一一) 面白み (その二)

第一二章 表現 (一二) 各種の弁論に適した表現

第一三章 弁論の配列 (一) 総論

第一四章 弁論の配列 (二) 序論の部

第一五章 弁論の配列 (三) 中傷

第一六章 弁論の配列 (四) 叙述の部

第一七章 弁論の配列 (五) 説得の部

第一八章 弁論の配列 (六) 質問と応答

第一九章 弁論の配列 (七) 結びの部

 解説 相澤康隆
 年譜
 訳者あとがき
 索引
              
アリストテレス    ΑΡΙΣΤΟΤΕΛΗΣ
[ 384 B.C. - 322 B.C. ]    古代ギリシャを代表する哲学者。ギリシャ北部のスタゲイラに生まれ、17歳ころアテナイのプラトンの学園アカデメイアに入学、20年間研究生活を送る。プラトンの死後小アジアなどの遍歴時代を経て、50歳近くでアレクサンドロス王の庇護のもとでアテナイに学園リュケイオンを創設し、学頭として研究と教育に没頭した。かれの著作は講義ノートが大部分であり、内容別に整理され、学問方法論、理論学の『形而上学』『魂について』、実践学の『二コマコス倫理学』『政治学』、制作学の『詩学』などがある。
[訳者] 相澤康隆    Aizawa Yasutaka

1979年生まれ。山梨大学大学院総合研究部准教授。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究專攻博士課程修了、博士(文学)。古代ギリシャ哲学専攻。訳書に『ソクラテスの思い出』(クセノフォン)、「政治学」(『新版 アリストテレス全集 17』 所収、共訳)などがある。