詩こそが最高の文学だった17世紀末。ソル・フアナはそんな時代に世界で最も愛された詩人だ。美貌の修道女でありながら、恋愛や抑圧的な社会への抗議をテーマとした作品を残した。彼女の思想を明快に表現した詩と2通の手紙を、詳細な解説とともにまとめたわが国初の試み。
「誰にも相談できずにひとり考え、悩み、どうして、なぜ、と世界の不合理を問い続けた、ひとりの、小さな、美しい妹の、全存在をかけた呟きと叫びをぜひ聞き届けてほしい」(訳者)
ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルス Sor Juana Inés de la Cruz |
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[ 1651 - 1695 ] メキシコの詩人、修道女。世界に版図を広げたスペイン・ハプスブルク帝国の末期、植民地に生まれた、同時代のスペイン文学最大の作家。結婚せず学問を修めたいがために修道女となり、恋愛の機微や女性の生き方、男性批判などの個人的主題を文学にもちこんで恐れなく明快に表現した。現在、その肖像はメキシコの200ペソ紙幣で使われている。 |
[訳者] 旦 敬介 Dan Keisuke |
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1959年東京生まれ。明治大学准教授、作家、翻訳家。主な著書に『逃亡篇』、『ようこそ、奴隷航路へ』、訳書に『幸福な無名時代』『愛その他の悪霊について』(共にガルシア・マルケス)、『戦いの後の光景』(ゴイティソーロ)、『無限の言語』(ボルヘス)、『11分間』(コエーリョ)、『世界終末戦争』(バルガス・リョサ)など多数。 |