恥、義理、恩、礼節......日本人の忘れものはなにか

菊と刀

菊と刀

ベネディクト    
角田安正  訳   

作品

戦後60年余を経て日本人は慎ましさを忘れた。恥知らずになったと言っても過言ではない。だが、ベネディクトが念頭に置いていた「恥」は、依然として日本人の行動を左右し続けている。(訳者)


内容

第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。ロングセラーの画期的新訳。

目次
謝辞
第1章 研究課題──日本
第2章 戦時下の日本人
第3章 応分の場を占めること
第4章 明治維新
第5章 過去と世間に負い目がある者
第6章 万分の一の恩返し
第7章 義理ほどつらいものはない
第8章 汚名をすすぐ
第9章 「人間の楽しみ」の領域
第10章 徳目と徳目の板ばさみ
第11章 鍛練
第12章 子どもは学ぶ
第13章 敗戦後の日本人
 解説 角田安正
 年譜
 訳者あとがき
ルース・ベネディクト    Ruth Benedict
[ 1887 - 1948 ]    アメリカの文化人類学者。ニューヨーク市生まれ。生後間もなく、はしかのために片耳の聴力を失う。 1914年、生化学者のスタンレーと結婚。その後、推理小説や女性活動家の伝記の習作に取り組むが、出版には至らなかった。1921年コロンビア大学の大学院でフランツ・ボアズらから人類学を学ぶ。同大学の非常勤講師を経て、1937年准教授になる。1943年戦時情報局に勤務し、1946年『菊と刀』を出版。死の2カ月前、正教授に任じられた。主著に『文化の型』など。
[訳者] 角田安正    Tsunoda Yasumasa
1958年生まれ。防衛大学校教授。ロシア地域研究専攻。在ロシア日本国大使館専門調査員を経て現職。訳書に『国家と革命』(レーニン)、『上からの革命−ソ連体制の終焉』(コッツほか)、『帝国主義論』(レーニン)、『菊と刀』(ベネディクト)、『市民政府論』(ロック)、共訳書に『ゴルバチョフ・ファクター』(ブラウン)などがある。