シラノの「心意気」を掻き立てているのは、ロクサーヌに対する「忍ぶ恋」なのであって、 初演以来の成功も、その最も重要なファクターは、「恋の言説」の超絶技巧にあったのだ。(訳者)
ガスコンの青年隊シラノは詩人で軍人、豪快にして心優しい剣士だが、二枚目とは言えない大鼻の持ち主。秘かに想いを寄せる従妹ロクサーヌに恋した美男の同僚クリスチャンのために尽くすのだが......。1世紀を経た今も世界的に上演される、最も人気の高いフランスの傑作戯曲。
エドモン・ロスタン |
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1868 -
1918 ]
詩人・劇作家。マルセイユに生まれる。29歳で書いたコクラン主演の『シラノ・ド・ベルジュラック』が大当たりし、翌年レジオン・ドヌール勲章叙勲。その後、『鷲の皇子』(サラ・ベルナール主演)で再び大成功を収め、わずか33歳でアカデミー・フランセーズに選出される。第一次世界大戦で従軍を志願したが健康上の理由でかなわず、地方の前線を視察後戻ったパリでスペイン風邪をこじらせ、死去。他の作品に『サマリヤの女』『雄鶏』、詩集『ラ・マルセイエーズの飛翔』などがある。 |
[訳者] 渡辺守章 Watanabe Moriaki |
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1933年生まれ。京都造形芸術大学教授。東京大学名誉教授。演出家。フランス文学・表象文化論を専攻。2021年4月死去。著書に『ポール・クローデル----劇的想像力の世界』『演劇とは何か』『越境する伝統』など。訳書に『フェードル アンドロマック』、『ブリタニキュス ベレニス』(ともにラシーヌ)、『繻子の靴』(クローデル)、『女中たち バルコン』(ジュネ)、『シラノ・ド・ベルジュラック』(ロスタン)、『アガタ/声』(デュラス、コクトー)、『マラルメ詩集』(マラルメ)、『ロレンザッチョ』(ミュッセ)など。 |