「ジャズ・エイジ」の華やかなイメージが強いかもしれないが、この作家は必ずしも永遠の若者であったわけではなく、案外クールな、皮肉、諧謔、滑稽の味をにじませる職人肌のストーリーテラーでもあった。(訳者)
理想の女性を追いつづける男の哀しみを描く「冬の夢」。わがままな妻が大人へと成長する「調停人」。親たちの見栄と自尊心が交錯する「子どもパーティ」。アメリカが最も輝いていた1920年代を代表する作家が、若者と、かつて若者だった大人たちを鮮やかに描きだす珠玉の自選短編集。
F・スコット・フィッツジェラルド F.Scott Fitzgerald |
---|
[ 1896 - 1940 ] ミネソタ州セントポール生まれ。プリンストン大学在学中から創作を始め、1920年『楽園のこちら側』で文壇に登場、絶賛を浴びる。妻ゼルダとの、作中人物さながらの華麗な私生活も注目を集め、一躍時代の寵児となる。1925年発表の傑作『グレート・ギャッツビー』などでロスト・ジェネレーションを代表する作家として確固たる地位を築く。そのほかの代表作に、『ジャズ・エイジの物語』『夜はやさし』など。 |
[訳者] 小川高義 Ogawa Takayoshi |
---|
1956年生まれ。東京工業大学名誉教授。著書に『翻訳の秘密』。訳書に『低地』(ラヒリ)、『さゆり』(ゴールデン)、『骨』(フェイ・ミエン・イン)、『オリーヴ・キタリッジの生活』(ストラウト)、『老人と海』(ヘミングウェイ)、『緋文字』(ホーソーン)、『黒猫/モルグ街の殺人』(ポー)、『若者はみな悲しい』『グレート・ギャッツビー』(共にフィッツジェラルド)ほか多数。 |