ウェールズの田舎の風光や民間伝承を背景とした、魔女小説の傑作「白魔」。故郷の森を思い出し、"実在"の世界に目覚めてゆく過程を描いた「生活のかけら」。幻想怪奇小説の大家マッケンが描く幻視の世界!
緑色の手帳に残された少女の手記。彼女は迷い込んだ森のなかで「白い人」に魅せられ、導かれて......。(「白魔」)平凡な毎日を送るロンドンの銀行員にウェールズの田舎の記憶が甦り、やがて"本当の自分"に覚醒していく。(「生活のかけら」)魔の世界を幻視する、珠玉の幻想怪奇短編!
アーサー・マッケン Arthur Machen |
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[ 1863 - 1947 ] イギリスの小説家。ウェールズの田舎の村で牧師の家に生まれる。医師の試験を受けるが失敗。18歳で文筆家を志しロンドンへ上京、家庭教師や出版社の仕事をしながら貧しい生活を送る。妻となるアメリア・ホッグと出会い、その紹介でオカルト研究家のA・E・ウェイトなどと知り合う。このころから代表作となる小説を執筆し始めるが、文壇からは酷評を受ける。1899年、アメリアが亡くなると絶望から黒魔術や劇団活動へ傾倒していく。1920年代にアメリカから再評価の気運が高まるが、1947年に亡くなるまでのほとんどの人生を不遇のうちに送った。主な作品に『パンの大神』『三人の詐欺師』『夢の丘』など。 |
[訳者] 南條竹則 Nanjo Takenori |
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東京生まれ。小説『酒仙』で第5回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。主な著書に小説『あくび猫』、エッセイ『恐怖の黄金時代──英国怪奇小説の巨匠たち』『ドリトル先生の英国』『吾輩は猫画家である』。主な訳書に『ねじの回転』(ジェイムズ、共訳)、『D.G.ロセッティ作品集』(共訳)、『木曜日だった男 一つの悪夢』(チェスタトン)、『白魔』(マッケン)、『天来の美酒/消えちゃった』(コッパード)、『秘書綺譚』『人間和声』(ブラックウッド)、『怪談』(ラフカディオ・ハーン)、『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』(ワイルド)、『消えた心臓/マグヌス伯爵』(M・R・ジェイムズ)、『アーネスト・ダウスン作品集』、『新アラビア夜話』(スティーヴンスン、共訳)、『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』(オブライエン)、『エリア随筆』(ラム)など。 |