2010.06.04
現代日本とドストエフスキー 沼野充義さん・亀山郁夫さん対談
が、国立博物館平成館大講堂で行われました。
会場は約400名の参加者で満席。ドストエフスキーをめぐる現代日本文学についてのお二人の対談は、時間の限りがなければ、どこまでも展開していきそうでした。
「村上春樹、ドストエフスキーがベストセラーとなる日本の状況」下で生きていく私たちが読むべき本とは何か、たくさんのアドバイスをもらったように思います。
亀山先生は、
「『カラマーゾフの兄弟』の訳を手がけた後、改めて読んだ漱石の『こころ』が以前より格段に面白く、またそれと前後して大江健三郎『水死』を読み、新しい発見があった。」
そして、沼野先生は
「読書とは運動なのだと思う。ある作品を読むとまた別の作品がおもしろく読める。」と。
「読書の運動」という言葉を聞き、書店の本棚(自宅の積んだままの本の山も)もいつもとは違った景色に見えてきました。
下記は今回の対談で言及された作家・作品についてのメモです。
ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
■現代日本文学のドストエフスキー的な作家についての考察
埴谷雄高 「死霊」
大江健三郎 「水死」「洪水はわが魂に及び」
村上春樹 「1Q84」
そして、高村薫、島田雅彦、平野啓一郎、中村文則、鹿島田真希
■また、キリスト教信仰とドストエフスキーの観点から
加賀乙彦 『宣告』『湿原』
辻原 登 『許されざる者』
■神なき時代、善悪が相対化した時代に生きる
川上未映子『ヘブン』