4月3日の東京新聞読書欄で『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』(フロイト/中山 元 訳)を取り上げていただきました。
2月に刊行した『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』には6編の論考が収録されています。ぜひ、ご一読を!
シェイクスピアの『ヴェニスの商人』で、金、銀、鉛の3つの箱からどれを選ぶかという「小箱選び」のうちに、古代ギリシア以来の3人の女性から1人をを選ぶモチーフを読み込み、そこから母親の3つの顔を描く。
幸福の絶頂で破滅へと向かい始める人物像を、シェイクスピアの『リチャード三世』と『マクベス』、イプセンの『ロスメルスホルム』などの作品を手掛かりに分析する。
ゲーテの自伝的な作品『詩と真実』の小さな告白をとりあげて、長い分析治療の経験のうちで、最初にいだいていた仮説がいかに補強されていくかを明らかにする。
ホフマンの「砂男」の分析を中心に捉えながら、「不気味なもの」をアニミズムとエディプス・コンプレックスと去勢の理論で考察できると考えていたフロイトが、さまざまなところで、同時期に執筆していた『快感原則の彼岸』で展開された新しい死の欲動の理論に知らず知らずに動かされていたかを示す。
1905年刊行の『機知―--その無意識との関係』の延長線上にある小品。ユーモア文学の笑いのメカニズムと超自我の関係について考察したもの。
『カラマーゾフの兄弟』の父親殺しをテーマに、ドストエフスキーの性格と作品を分析するものであり、不気味なものにまつわるさまざまなモチーフが登場。
ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの フロイト/中山 元 訳 定価(本体980円+税)