第4回講座では、『判断力批判』を中心に美と自由、自然の合目的性とそれがどのように自由と結びついていくかについてお話いただきました。
カントの『判断力批判』は、美と自然の目的という極めて非政治的なテーマを考察していますが、個人としての人間の理性を問題とするのではなく、複数の人々が社会を形成しながら生きる時、他者のなかの「私」(個人)の判断力がいかにして自由と結びつくのか、について論じています。この点に注目したアーレントは、「『判断力批判』はカントの政治哲学が展開された重要な書物」であると考察しています。そして3つの「理性批判」の中で『判断力批判』は、カントの政治哲学の基本的な考え方が記されているという重要な視点が提示されました。(アーレントの『カント政治哲学講義』) 次回は、ここから宗教論から歴史哲学について講義を展開していただきます。 そして、最終回の第6回では、カントの政治哲学を中心にお話いただく予定です。 『判断力批判』に書かれている "人間の目的" に関する箇所は、政治哲学においても重要な役割を果しているとおっしゃる中山さん。質疑応答の時間もたっぷりありますので、ぜひ、ご参加ください!
■ ドイツ文化センターのオフィシャルブログにも講座の模様が掲載されています。>>
純粋理性批判 5