2011.08.18

《インタビュー》『人口論』訳者/斉藤悦則さんー 毎日新聞 2011年8月14日

毎日新聞・今週の本棚(2011年8月14日)に、『人口論』の翻訳者・斉藤悦則さんのインタビュー記事が掲載されています。
読まずに貶される「悪者」の実像 (前略)  いわば「貧困の存在は必然」と説いたようなマルサスのイメージは悪い。仏社会主義思想を研究し、やはり「マルサス=悪者」との先入観を抱いてきた。『人口論』を初めて手に取ったのは学生時代。「有名な一節を確認することだけが目的でした。『確かに書いてある』と安心して、残りはほとんど飛ばしてしまった」 (中略) 「そのつどの頑張りで世の中をよくしよう、という立場なんです。生きるのが楽しい世界とは何かと考えると、ある程度負荷がかからなければダメという主張もうなずける」。意外にも、貧乏人を切り捨てる冷酷な学者ではなく、明るく「元気に行こうぜ」と励ます若者の姿が見えてきたという。  現代の人口問題にもつながる色あせることのない古典。「アダム・スミスの『国富論』は読んでいなくてもみな褒めるのに、マルサスは読まずに貶(けな)される。固まったイメージはこわいですね」と笑った。
人口論
マルサス/斉藤悦則 訳 定価(本体900円+税)