2011.09.13

〈創刊5周年〉 9月の新刊、本日発売です

光文社古典新訳文庫は、創刊5周年を迎えることができました。ご愛読、ほんとうにありがとうございます! 今月の新刊は、創刊5周年の感謝をこめて、魅力あふれる強力なタイトル3作品をお届けします。 野崎歓さんが「訳してみたいとひそかに夢見ていた」という『うたかたの日々』 。第6巻となる『純粋理性批判』 は、いよいよ「超越論的な弁証論」の最終章です。神の現実存在の議論の検討がなされます。そして、『ロリータ』を予感させる重要な作品である『カメラ・オブスクーラ』 の3作品。ぜひ手に取っていただければと思います ! blog_img_201109.jpg
『うたかたの日々』(ヴィアン 野崎 歓/訳)
青年コランは美しいクロエと恋に落ち、結婚する。しかしクロエは肺の中に睡蓮が生長する奇妙な病気にかかってしまう......。 愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、このうえなく悲痛に、美しく描き切ったラブストーリー。ヴィアンの魅力を瑞々しい訳文で再現!
『純粋理性批判6』 (カント  中山 元/訳)
第6巻は「超越論的な弁証論」の第三章「純粋理性の理想」を扱う。ここでは神の現実存在の議論が検討され、デカルト以来の伝統的な近代哲学の神の存在証明が分類され、すべてが批判される。そしてこの存在証明に基づく神学の考察と批判が展開されることになる。
『カメラ・オブスクーラ』(ナボコフ  貝澤 哉/訳)
裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。ひそかに縒りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘をも失い、奈落の底に落ちていく......。 英語版とは大きく異なるロシア語原典の独特の雰囲気を活かし、細部の緻密な面白さを際立たせた野心的な新訳。