光文社古典新訳文庫のすべての装画を手がけていただいている望月通陽さんの原画展(西荻窪・葉月ホールハウスで開催中)について、静岡新聞に掲載された記事をご紹介します。
(前略)カバーの不思議な絵に引かれて手に取る人も多い。
絵の作者は静岡市在住の望月通陽さん。染織家として活躍する一方、装丁も数多く手掛ける。新訳文庫は創刊時から全て一人で描いてきた。基本は一筆書き。デフォルメされた人物や動物が、何やら本の内容を暗示しているようだ。
「描く前に、訳し終わった本を全部読むんです。ちょうどカントの『純粋理性批判』第7巻を読み終えました。まさか自分がカントを読むとは思わなかったが、彼の"人となり"が出ていて面白かった」
望月さんは「絵は本の個人的な感想」と言う。例えば(これまで「審判」の邦題が定着していた)カフカの「訴訟」の絵では、部屋の隅に追いやられたような人物がこちらを見つめる。「訴訟の狭苦しさ、カフカの文章の狭苦しさ。その感じが絵になりました」
23日にはトークイベント、クリスマス・イブには谷川賢作さんとのライブもあります。会場の葉月ホールハウスは善福寺公園を臨む素敵な一軒家のギャラリーです。ぜひ、ご来場ください。