11日に初日を迎える俳優座の新春公演『カラマーゾフの兄弟』、"場当たり"中の劇場に伺いました。
1994年の初演が千田是也さん最後の演出となった「カラマーゾフの兄弟」。今回は初演時にドミートリーを演じた中野誠也さんの演出で上演されます。
1994年当時「カラマーゾフの兄弟」という作品は、どのような存在だったのだろう。千田是也さん、脚本の八木柊一郎さんが、今こそ「カラマーゾフの兄弟」だと、魂をこめて舞台化された1994年から18年を経て、亀山郁夫さんによる新訳「カラマーゾフの兄弟」とが出会い、2012年の今年、再演されることになりました。
千田是也さんから引き継いでこの作品を演出することのプレッシャーを真正面から受け止めたと、中野さん。
「とにかく一歩前に進まないと始まらないのですから」。
そして、「千田先生は前回の公演中に急逝されたので、未だ完成していないのでは、千田先生の遺志を継いでいつかもう一度...と思っていた」と。
役者として数々の舞台を踏んできた中野さん、演出家としては3作目となる今回の公演。
「3兄弟とも、これから俳優としてのキャリアが始まる若手を選びました。強烈な役柄を演じることになるので、観客のみなさんに、まっさらな役者を見ていただきたいという思いもあります。魂の救済を求める人間とは何なのか。とにかく、この物語の面白さは圧倒的です。」
トリフォン/将校/書記役の斉藤淳さんとイワン・カラマーゾフ役の頼三四郎さんは、 「本格的な稽古は11月半ばから始まったのですが、8月からそれぞれ準備を始めていました。大作に挑むということで、不安な気持ちになりがちな若手の役者を中野さんが引っ張っていってくださって、ここまできました。
原作を読んでみると、とにかく面白くて。登場人物の温度、熱量が高くて魅力的。作品の重要な部分が、芝居の中に抽出できていればと思います。」
「もっと稽古をしたいという気持ちもありますが、お客さまがこの芝居を観てどう感じたか、早く感想を聞きたい。年齢に関わらず観ていただける芝居だと思います。」
「観ていただいた後、「カラマーゾフ」の人々の人生を、みなさんの人生と照らし合わせてほしい、そう思います。」
上演時間は休憩をはさんで2時間40分です(初演時は3時間を超えたそうです)。物語が凝縮された2時間40分を体験しに、ぜひ劇場へご来場ください。
公演パンプレットに掲載されている中野誠也さんの「「カラマーゾフの兄弟」演出雑記」と亀山郁夫さんの「アレクセイ・カラマーゾフの運命」をブログでもお読みいただけます。ぜひご一読ください。
●「「カラマーゾフの兄弟」演出雑記」中野誠也(PDFファイル)>>
●「アレクセイ・カラマーゾフの運命」亀山郁夫(PDFファイル)>>