トルストイが34歳の時に発表した本作は「非暴力主義の唱道者といった後年のイメージからはほど遠い、悩み迷った作家の青春の集大成」(訳者・乗松亨平さんの解説から)といえる作品です。
毎月の新刊と街ネタを紹介している渡邉裕之さんの連載コラムでは、この作品の魅力を下記のように書いています↓↓↓↓
「実に面白い小説でした。その面白さを喩えるとこうなるでしょう。東京・神保町の岩波ホールに映画を見にいって、相変わらずの良心的な文芸映画のはずと油断していたら、スクリーンに展開するのは恋あり活劇ありのてんこ盛りで、思わず夢中になり、あれよあれよというまに物語は大団円へ、気づいたら映画が終わっていたという感じでした。」
●続きは「新・古典座」通い -- vol.7 2012年3月
そして、作品の舞台となるコーカサス地方についての解説もぜひ読んでいただきたいです。
ロシアの近代史、文学にとって重大な意義をもつ「コーカサス」とはどういう場所なのか...乗松先生に詳しく解説していただいています。 (あとがきには、ロシア文学の「コーカサスもの」読書案内、チェチェン紛争を取り上げた映画、ルポの紹介もあります。)
コサック 1852年のコーカサス物語モスクワでの無気力な生活に疲れた青年貴族オレーニンは、チェチェン人と対峙するコーカサス辺境での軍隊勤務を志願する。その地はコサックの自由な精神に溢れていた。そして美しい少女マリヤーナとの恋が彼の内面を変えてゆく。トルストイの従来のイメージを一新する輝かしき青春小説。