2012年5月27日(日)の読売新聞読書欄で『サロメ』(ワイルド/平野啓一郎 訳)を取り上げていただきました。評者はロバート キャンベルさん。
「...ワイルド以降、サロメは究極の悪女として描かれてきた。(中略)
しかし訳者がいうには、彼女の本当の魅力はそこにはない。むしろ親に背負わされた罪障が生み出す色気と、少女らしい純真さのミックスによって戯曲が彩られているという。卓見である。底本のフランス語初版でも、台詞はみずみずしいほど平易で世慣れしていない。主役のふわりと可愛くかつ危険な言葉で、悲劇は読者をいっそう深く暗い場所にいざなってくれるようだ。訳者あとがきと注釈、英文学者田中裕介による解説も冴えている。」