2013.11.20

『やっぱり世界は文学でできている ――対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2』 東大・沼野教授の人気対談集、第2弾!

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文芸評論家としても有名な東大・沼野充義教授と、外国文学を日本に紹介している翻訳者・研究者たち、実際に創作者として活躍する作家たちとの対談を本にまとめました。今回は、「いま文学に何ができるのか」を共通のサブテーマとしながら、世界文学の現在がどういうものかを探っていきますが、そこから必然的に起こる映画や音楽などほかの芸術への脱線も楽しい内容になっています。文学者たちのリアルな声、思考、情熱が伝わってくる対談集です!

《目次》
    • はじめに 世界は言葉でできている
    • 翻訳家・外国文学者編
    • 1 あらためて考えるドストエフスキー
    • 東日本大震災と「世界文学」/亀山郁夫×沼野充義

3・11と9・11の狭間で/分断できない連続性としてのノスタルジア/「タスカー」(Tocka)に含まれるロシア語のニュアンスについて/ドストエフスキーのノスタルジーとはどういうものだったか/「もののあはれ」と「アウラ」をつなぐもの/ストーカーとして盗んだ「もののあはれ」/震災後にどんな書き方が可能だったか/ ロシア文学の底力

    • 2 「美しいフランス語」の行方
    • フランス文学はどこから来て、どこへ行くのか/野崎 歓×沼野充義

エリートの海外文学だった日本の「フランス文学」/文学本来の楽しみとは/フランス文学の自信は揺らいでいるのか/人権宣言が「美しいフランス語」で書かれたフランス的な矛盾/フランス文学は特権的な外国文学だった/エトランジェの系譜/「美しいフランス語」の行方について/ 例外の系譜/フランス語の純正さと翻訳という問題について/強度のあるプルーストの文体が、ドイツ語に翻訳すると普通になってしまう/翻訳によって作られていく「世界文学」がある/映画と文学のあるべき関係について

    • 3 「世界文学」の始まりとしてのアメリカ
    • ポリフォニックな言語状況を生きる/都甲幸治×沼野充義

ショート・レクチャーPART1 明治時代の「世界文学」/ショート・レクチャーPART2 英語で書かれた「世界文学」/明治以来の日本と日本語の状況について/本当は日本にもある、ポリフォニックな言語状況/「世界文学」の問題とは、単なる言葉の問題ではない/ロサンゼルスは、メキシコ第二の都市である!?/都甲幸治と沼野充義が勧める、文学を楽しみ、「世界文学」を知るための各10冊/誤訳があったとしても、翻訳があればやっぱり幸いである/知らないことがダメなのではない、知っていると思うことが危険なのだ

    • 実作者編
    • 4 太宰とドストエフスキーに感じる同じもの
    • 「世界文学」はここにもある/綿矢りさ×沼野充義

日本語で書かれた世界文学とは/太宰とドストに感じる同じもの/自然に動き出す人物、途中で固まるタイトル/「わさびが鼻にツンとくる」という表現にある難しさ/綿矢りさの読者層/綿矢流の小説作法について/激しいものをどのように書くか

    • 5 日本語で書く中国の心
    • アジア文学の世界性/楊逸×沼野充義

微妙な異物としての日本語の魅力/世界文学への二つのルート/同じ漢字でも、これほど違う/日本語で書くことの楽しみ/私には聖域も聖人も必要がない/鍋を売って大学に行かせる/食と酒と文学の関係を比べると/翻訳を読んで知る、翻訳の限界と世界文学の力/楊逸が若い人に勧める日本文学の三冊/文学にはユーモアとアイロニーが要る

    • 6 母語の外に出る旅
    • 移動を繰り返しながら書くということ/多和田葉子×沼野充義

「脱・境界」の現代的な意味/亡命者は、見えない「起源」と見えない「終末」の間で生きている/日本作家の日本文学への回帰のことなど/言葉の求心力と遠心力について/受け身であることが自由に書くことにつながった『雲をつかむ話』/自分から離れた自分の意識が、自分を見て笑っていることがある/多和田葉子の二つの書き方/翻訳してみてわかることなど/翻訳をするには時間とエネルギーが必要/ハムレットの海 Hamlet No Sea/アカデミズムに新しい風を吹き込む/考えていないような心の状態にもっていけたときが、書くことに一番集中できている

  • おわりに あえて文学を擁護する
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やっぱり世界は文学でできている
対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2

  • 沼野充義/編著
  • 定価(本体1,800円+税)
  • ISBN:97759-7
  • 発売日:2013.11.15