東京ドイツ文化センターと協力して、これまで5回にわたって開催してきた連続講座「ドイツの古典図書を古典新訳文庫で読む」。第6回目となる今回は、6月刊リルケ『マルテの手記』の訳者・松永美穂さんと、解説を書いていただいた精神科医・斎藤環さんをお迎えして、講義と対談を行います。
20世紀の初め、不安を抱えながら、単身出てきたパリの街をあてどなくさまようデンマーク出身の青年詩人マルテ。「見る」ことを学ぼうと、パリの風景やそこに暮らす人々を観察するうち、その思考は故郷での奇妙な出来事や、歴史的人物の人生の中を飛び回っていきます。物語は71の短い断章が積み重なり、マルテの苦悩と再生が描き出されます。
本講座では、まず訳者の松永美穂さんに『マルテの手記』の読みどころや翻訳にまつわるエピソードを語っていただき、続いて主人公マルテの心理と精神病理について、現代の若者の姿とも照らし合わせつつ、精神科医の斎藤環さんとの対談を。最後に、参加者のみなさんとの質疑応答の時間も予定しています。お二人がリルケについて語り合う、またとない機会です。ぜひご参加ください。