東京大学の沼野教授(ロシア・ポーランド文学)が、文学界の第一線で活躍する作家、詩人、エッセイスト、翻訳家たちと熱く語り合う人気対談集、第3弾。言葉やジャンルの圧倒的な多様性を前に、われわれはそこからどのような普遍性を見出すのか。文学は人間にとってお金よりも権力よりも大事なものである、と納得できる究極の読書ガイド!
読書遍歴はバルザックとトルストイで始まった/電車の中で出会ったドストエフスキー/世界の大河小説から、十九世紀のロシアの小説を経て、『源氏物語』まで/リアリズムとは何か/ファンタジーとリアルな世界の融合/『源氏物語』はヨーロッパ風の大河小説か/飢えのさなか、小説を読んだ時代があった
まるで宇宙人と出会ったようだった/詩とその翻訳について/谷川詩が中国で受け入れられた理由/詩人と「生活」というもの/「常に童心をもっている。だから書ける」/翻訳がなければ歴史もなかった/詩と小説の違い――「いま・ここ」ということ/意味と意味以外のもので味わう朗読詩四題/詩が普遍的になることにどんな意味があるのか
ドストエフスキーは青春の作家である/いつまでも青春に留まっていては小説が書けない/「私をどこかへ連れてって」/スティーヴンスンと中島敦/二葉亭四迷の『余が翻訳の標準』とベンヤミンの『翻訳者の使命』/日本語の変化が翻訳を変えた例/『賜物』再読/要約とは何か、パスティーシュとは何なのか/古典は、読めば面白い
越境人間としてのマルチな足跡/日本に来る前に、スパイ事件に巻き込まれたこと/学んできた言葉について/ 無意識のルーツ探し/日本語事始め/言葉は時代とともに変わる/「翻訳の不可能性」に挑む──音と詩の翻訳について/言語習得の壁
日本語にして見えてきたもの/距離をとることと、接近することとは同じことだ/ジーンとくるロシア語作家・ブロツキイの英語/誤解される「雨ニモマケズ」――過去は一種の外国だ/氾濫する「文学まがい」の言葉/文学は古くならない「ニューズ」である/文芸ジャーナリズムが扱う「新人」についての気がかり/詩と散文をめぐって/文学の言葉/お薦めの本/言わずして言ったものとの綱引き
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