紀伊國屋書店電子書店Kinoppyとのコラボレーション企画「Readers Club読書会(Readin Session)」、第10弾は9月9日発売の新刊メルヴィル『書記バートルビー/漂流船』の訳者・牧野有通さんをお迎えして開催します。
本作は『白鯨』で知られるアメリカ最大の文豪、メルヴィルの代表的中篇2つを収録したものです。「書記バートルビー」の舞台はウォール街。ある法律事務所に雇われた男バートルビーは、寡黙で仕事熱心ではあるものの、決まった仕事以外の用件を言いつけられると、「そうしない方がいいと思うのですが」と言い、頑なに拒絶する。その拒絶は次第にエスカレートし......悲劇的結末が胸を打つ傑作。いっぽう「漂流船」は、半ば遭難した奴隷運搬船の正体をめぐるサスペンスフルな作品。劇的な展開が楽しめます。
本作収録の2作は日本でも人気の高い作品ですが、本書の翻訳者である牧野有通さん(日本メルヴィル学会会長)によると、これらの作品にはメルヴィルの巧緻な仕掛けが幾重にも施され、これまで多くの読者を欺き続けてきたといいます。今回の読書会では、牧野さんをお迎えして、メルヴィルが本作に隠した真の意図について、また新訳における工夫、そしてメルヴィルとはいったいどういう作家なのかについて、たっぷりと語って頂きます。