アンドレ・ブルトンの『狂気の愛』の最終章、16歳に成長している未来の娘に宛てて書いた手紙の最後の一行が本作の原題です。
ウニー・ルコント監督は、「この映画を作ることに力を与えてくれた、支える力になってくれた大事な言葉です」とインタビューで答えています。
「長いあいだわたしは、子供を生むのは最悪の狂気だと考えていた。いずれにせよ、わたしを生んだ人々を恨みに思っていた」というブルトンが、誕生して8ヶ月の娘への尽きることのない愛を手紙に書き綴ります。
9歳のときに養子として韓国からフランスへ渡った自身の体験をもとにした『冬の小鳥』でデビューしたウニー・ルコント監督。第二作にあたる『めぐりあう日』も、自身の体験をもとに作られ、30年の歳月を経て偶然の出来事をきっかけに再会した母と娘が繊細に描かれています。そして、ラストシーンにはこの最後の一行が...
映画のパンフレットには、訳者の海老坂武さん、野崎歓さんのテキストも掲載されています。ぜひ、劇場へ足をお運びください。
《story》パリで夫と8歳になる息子と一緒に住むエリザは 身体の機能回復をサポートする理学療法士をしている。産みの親を知らずに育ったエリザは養父母の了解のもと、実母の調査を専門機関に依頼しているが、匿名で出産した女性を守る法律に阻まれ、実母にたどりつくことができない。
6か月後、ついにエリザは自ら調査をするために自分の出生地である港街ダンケルクに、息子ノエと共に引っ越して来る。