「光文社古典新訳文庫 読書エッセイコンクール2016」の入賞者が決定しました。9回目となった今回も多数の作品をご応募いただきました。ありがとうございました。
12月18日発行の朝日中高生新聞に入賞者と小・中学生部門、高校生部門の最優秀賞作品が掲載されています。ぜひご覧ください。
早いもので光文社古典新訳文庫は、今年9月で創刊10周年を迎えました。古典だけを新訳で刊行するといういささか大胆な試みが、ここまで成長したことは望外の喜びです。この読書エッセイコンクールも、今年で第9回。毎回たくさんの読者の方々に支えられて今日に至りました。読書エッセイと一言で言っても、実際に自分らしい形にまとめるのは容易なことではありません。にもかかわらず毎回1000通を超える優れたエッセイを寄せていただいことはお礼の言葉もありません。あらゆる年代の方々の手による個性あふれる文章を読むことは、審査員を務める先生方はもちろん、われわれ編集部にとってもこの上ない喜びでありました。
最近はエッセイとして読みごたえのある作品が増えました。完成度の高い作品が多くなり、最終審査会でも、その理解の深さ、独創的な見解に、感嘆の声がたびたび上がりました。なかでも小・中学生部門では『あしながおじさん』を取り上げた高山寛乃さんの「手紙」、高校生部門の『フランケンシュタイン』を題材に「怪物は幸福になれるか」を書いた三原黎香さんのエッセイが、審査員の称賛の的になりました。
昨今、本離れが進んでいると言われることが多いのは確かですが、今回のコンクールの審査を通じて、それは杞憂ではないのかとあらためて思いました。最後になりましたが、この読書エッセイコンクールにご応募いただいたすべての方々に心より感謝いたします。ありがとうございました。
株式会社 光文社出版局編集委員 駒井 稔