東京大学の沼野充義教授(ロシア・ポーランド文学)と、現代の文学を担う作家・翻訳者・研究者たちとの対談をまとめた人気対談集「対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義」の第5弾が発売されました。第1弾が出たのは2012年、今回が最終巻になります。
今回のゲストは、海外でも人気の高い作家の川上弘美氏、作家・翻訳・文学研究と多彩な活躍をされる小野正嗣氏、日中比較文学研究の張競氏、短歌などの研究で著名なツベタナ・クリステワ氏。また、今回は東京大学現代文芸論研究室で海外文学を研究する日本人研究者、日本文学を研究する外国人研究者の面々に、それぞれの専門分野から世界文学の現場を紹介してもらいました。
いま文学に何ができるのか、なぜ文学が大事なのか──26回の対談を通して読むと、その答えが見えてきます! ぜひお読みください。
大学は生物学科。図書館で本を読み、研究室ではおでんを煮ていた/『季刊NW‐SF』という「場所」/溜まった十年間の澱のようなものが、書かせてくれた/異世界に遊ぶ翻訳文学の歓び/『真鶴』を読む/俳句を作る小説家/『伊勢物語』を翻訳して/『神様2011』の想像力/いまお薦めの本/質疑応答
文学とは場所を作り、与え、受け入れてくれるもの/方言、標準語、登場人物のモデルの話など/小さな場所について/世界につながるクレオール文学/小さな島の小さな通りに住んでいる人たち/よその土地で自分の土地を発見する/五つの顔を持つ小説家/お薦めの本/質疑応答
明治までの日本文学は、中国語と日本語のバイリンガル社会だった/似ていることの「落とし穴」/80年代という曲がり角/「文体」という問題/翻訳が教えること―ハルキの英訳を中心に/最新日中・中日文学交流事情/食の薀蓄/現代中国文学の豊かさ―日本の随筆の素晴らしさと詩の中国語訳/もっと小説を!/中国人は日本人が嫌いか。日本人は中国人が嫌いか。
日本古典文学事始め/和歌の消長と行く末/「あいまいさ」の詩学/文学の現代性も「両義性」の中にこそある/俳句は和歌の極まりである/質疑応答/お薦めの本
「ラテンアメリカ文学」という広がりのあるジャンル/チェコ文学―一つの価値観が絶対ではない世界で生きていくための「術」/クロアチア・セルビア―大国に翻弄され続けた地域の「プロパガンダ」という物語/ロシア―スモーリヌイの建物の、突き当たりにある小さな部屋で聞かされたこと/質疑応答
外国の日本文学研究者たちが与えてくれるもの/わけがわからないままどっぷり浸かった、日本版モダニストの石川淳/興味の焦点は言語と文学の間にあった/揚州の鑑真を偲ぶ庭園に日本を想い、京都に残る古き唐朝の息吹に感動した/「あ行」から始めた乱読が、「こ」まで来たところで小島信夫が見つかった/日本人の真似をしながら日本語を話すということから自分を解放できずにいます/着地するのではなくどこかに向かう気持ち、そしてその過程に存在することへの関心/完璧な瞬間の美に気づくことができたのは、俳句を読んでいたから
《対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義 既刊》