プルースト『失われた時を求めて』は、その長大さのために、あるいは複雑で息の長い文章が続くために、これまでの読者の中には途中で挫折してしまったという方も多いようです。しかし本作が20世紀の文学史に燦然と輝く傑作であるという評価は揺るぎないものとなっています。では、わたしたちはこの作品をどのように読めば、その魅力を堪能できるのでしょうか。
『失われた時を求めて』を翻訳されている高遠弘美さんは、つねづねこの作品を「ゆっくり読む」ことを推奨されています。高遠さんが勧める「あらすじを気にせずに、時間を取って読書する」とは実際にはどういうことなのか、それによってどのような読後感がもたらされるのか、そして『失われた時を求めて』はそんな読書にどのように応えてくれるのか――今回の読書会では、プルーストという作家と作品の魅力、そして「読み方」にいたるまで、高遠先生にたっぷりと語って頂きます。