2017年度の日本ロシア文学会のプレシンポジウムとして、「二葉亭四迷再考 ── 人物、文体、可能性」が10月13日に上智大学で開催されます。広く一般向けに行われるシンポジウムで、予約不要、入場無料です。ご興味のある方はぜひ足をお運びください。
二葉亭四迷(1864-1909)は多様な顔を持っていた。ツルゲーネフの「あひびき」などロシア文学の日本初の本格的な翻訳者、その訳業を通じて言文一致体を編み出した先駆者、『浮雲』などで「個」の問題を前景化した近代日本文学最初期の作家、日本とロシアの地政学的葛藤を予見し、憂慮した国士――等々。それらはいずれも、日本に近代という機構が成立する過程で現れていた諸々の課題を、二葉亭がわが身に真摯に引き受ける中から生じてきたものである。しきりに「近代の終わり」が語られている今こそ、私たちは立ち止まって、この多面的な人物の魅力と現代における意味をもう一度振り返ってみる必要があるのではないか。これまでロシア文学・比較文学・日本文学の立場からこの作家に言及を重ねてきた方々とともに、二葉亭という人物あるいは現象について考えてみたい。〈シンポジウム開催概要より〉