「働きすぎの僕らには《休養》が必要だ!」と息巻き、3人の男(+1匹の犬)が一艘のボートでテムズ河を遡る旅に出る――そんな設定だけでもなんだか笑えてしまいませんか?
すでに230作以上を刊行している光文社古典新訳文庫の中でも、「笑える文学」は数えるほどしかありません。「悲劇的作品」と比べると、「喜劇的作品」が時代を超えて読み継がれるのは意外と難しいのかもしれません。そんな逆風もなんのその、世界中で100年以上も読み継がれてきたのが、今年4月に刊行されたジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男 もちろん犬も』。時にはっとするほど美しい情景描写もある紀行文学でもありながら、全篇を通して読みながらニヤニヤしてしまうユーモア小説の傑作です。英国で19世紀に書かれた物語なのに、登場人物たちのとぼけた言動は、なんだか身近な人のもののように感じてしまいます。
今回の読書会では、翻訳者の小山太一さんをお招きし、本作が成立した背景、著者の知られざる人となり、そして読みどころ・笑いどころまで、たっぷりと語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)