哲学者ショーペンハウアーの『読書について』はそのマッチョな読書観が話題となり、光文社古典新訳文庫のベストセラーとなりました。今回はそのショーペンハウアーの第2弾。哲学者みずからの体験をもとに教えを授ける『幸福について』です。「人は幸福になるために生きている」という考え自体が人間生来の偽り、迷妄であると断じる"逆転の発想"がまずユニークです。
自分と他人を比較し、他人の評価をたえず気にすることが不幸の元凶だ。名誉や地位、財産に惑わされてはいけない。くだらない社交生活をするよりは孤独を愛せ。人を妬んではいけない......。つまり、自分が本来持っているものを大事にし、育むことが幸せへの第一の鍵だと諭します。
「つらいとき、悲しいとき、人間関係に悩んだとき、失意のどん底にあるとき、現実世界がまさに最悪であるとき、生きのびる力を与えてくれる言葉、本当にそうだねと頷き、一服の清涼剤となるような言葉」を、本書『幸福について』に見つけてみませんか? 新訳をなさった鈴木芳子さんをお迎えして、この作品の魅力について語って頂きます!
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)