思春期を迎えた幼馴染みどうしのぎこちない恋愛を描いた『青い麦』、元高級娼婦と若い恋人との愛の顚末をたどる『シェリ』など、数々の恋愛小説で世界を魅了した、20世紀前半のフランスを代表する作家コレット。その斬新な設定や、読者を引き込む心理描写の妙は、自身の恋愛を色濃く反映したものでもありました。 20歳で結婚し、夫のゴーストライターとしてベストセラー(『クローディア』シリーズ)を著したコレットは、離婚・独立後は、執筆のかたわら、踊り子として舞台に出演したり、同性愛体験や義理の息子との恋愛、生涯三度も結婚したりと、奔放で自由な愛に生きたことで知られます。彼女の人気は絶大で、1920年と1953年にはフランス最高の栄誉であるレジオンドヌール勲章が与えられ、逝去の際にはフランス政府によって国民葬が営まれています。 彼女の死から60年以上経った現在でも、彼女の半生を描いた、キーラ・ナイトレイ主演映画『コレット』が今年5月18日より全国で上映されるなど、コレット人気は衰えるところがありません。 今回の読書会では、2010年に『青い麦』を新訳され、今年5月に『シェリ』の刊行を間近に控えた翻訳者の河野万里子さんをお迎えし、コレット自身とその作品の尽きせぬ魅力について語っていただきます。 (聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)
Readers Club読書会(Readin Session) #52
「フランスが愛した作家コレット、『青い麦』と『シェリ』の魅力」河野万里子さんを迎えて