舞台はドイツの架空の町ルーレッテンブルグ。ルーレット賭博にのめり込んでいく登場人物たちの人間模様を描いた作品が、今回取り上げる『賭博者』です。
ドストエフスキー自身の体験が色濃く反映されている「自伝的」作品とも言われています。主人公のアレクセイ青年をはじめ、美人で金の亡者のマドモワゼル・ブランシュ、妙なフランス人など、それぞれが強烈な個性をもっていて、とくに皆に遺産を狙われている大金持ちの「おばあさん」がルーレットに狂い、全財産を失う場面は圧巻です。赤か黒か、それともゼロか? まさに「偶然こそが真実であり、人生である」とでもいうべき、「カーニバル(祝祭)的熱狂」を孕(はら)んだこの作品の魅力を、訳者の亀山先生に熱く語っていただきます。
*なお、今回は都合によりサイン会はありません。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)