五月下旬の午後遅く、パリの町の美しさを堪能しつつメトロに乗り込んだユゴー・アルノルドは、隣の席に座った女が無遠慮に化粧するさまに魅了される。女優だという彼女は彼をエロスの極みに誘うが……。隣り合わせの性と死を描く三篇収録。
この第7巻では、〈死に臨む存在〉としての死への先駆性と良心の根源的な働きである決意性を時間性によって結びつけることで、現存在の本来的なあり方を明らかにする。将来、既往、現在、時熟という独自の時間概念での考察が展開される。
将来結婚するものと考えていた幼なじみとのはかない恋とその後日を回想する代表作(「みずうみ」)ほか、「三色すみれ」「人形使いのポーレ」を収録。若き日の甘く切ない経験を繊細な心理描写で綴ったシュトルムの傑作短編集。