あなたの初恋はどんな恋物語でしたか? 歳月を経るごとに鮮やかに蘇る、そんな初恋の後日を好対照に描いた「みずうみ」と「人形使いのポーレ」。「みずうみ」は、将来結婚するものと考えていた幼なじみとのかなわなかった恋とその後日を主人公が回想するシュトルムの代表作です。一方の「人形使いのポーレ」は、見習い先の親方が、少年の頃、旅芸人一座にいた少女との出会いと別れ、大人になってからの思いがけない再会と顛末を語る物語です。もう1作は継母と前妻の娘との心の揺れを描いた「三色すみれ」。今回の読書会では訳者の松永美穂さんをお招きし、繊細な心理描写と叙情あふれる繊細な作風で多くの読者の共感を得、ある世代からは絶大な、そして今も根強い人気を誇るシュトルムの3作品の魅力についてたっぷりと語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)