美しい少女の姿をした水の精と人間の騎士の哀しい愛の行方を描いたフケー『水の精(ウンディーネ)』は、貴族から庶民まで19世紀初頭のドイツ中で広く読まれ、作家フケーの代表作となりました。人間の魂を求める精霊、男の裏切り、宿命と愛を貫くことの間での葛藤といったモチーフは後世の作家に受け継がれ、ホフマンによる同名のオペラや、フランスの作家ジロドゥによる戯曲『オンディーヌ』など、様々なジャンルの作品に変奏されてきました。
そして今年3月下旬には、『水の精』の物語の舞台を現代に移して翻案したドイツ映画『水を抱く女』(クリスティアン・ペッツォルト監督)が、全国順次公開となります。第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している話題作です。
作者自身の恋愛経験をもとに生まれ、多くの作家にインスピレーションを与えてきたドイツロマン派の傑作『水の精』。その色褪せない魅力について、翻訳者の識名章喜先生にお聞きしたいと思います。
今回は(株)彩プロのご厚意により、読書会お申込みの方の中から抽選で3名様に『水を抱く女』ペア鑑賞券をプレゼントいたします。詳細は紀伊國屋書店ウェブサイトをご覧ください。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)