2022.06.03

【Zoom配信】紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#80 ロシアとソ連をつなぐ作家ゴーリキーの傑作短篇集『二十六人の男と一人の女』の魅力 訳者・中村唯史さんを迎えて

中村唯史さん

19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したロシアの作家ゴーリキーは、若い頃にロシア西部からウクライナ、黒海沿岸、グルジア(現ジョージア)の一帯を放浪し、時代のはざまで社会の底辺にいた人々の生活を観察しました。そして、それを戯曲『どん底』や、短篇小説に描きました。

「どん底」というと暗い印象を持たれがちですが、近年新訳された『二十六人の男と一人の女』の短篇群を読むと、逆境でも逞しく生きようとする人々の姿、そしてその活力の裏返しともいえる哀愁が、実に生き生きと描かれているのに驚かされます。

こうして人気作家となり、文壇での地位も得たゴーリキーは、ロシア革命以後、当初はボリシェヴィキ政権を批判して亡命を余儀なくされましたが、1920年代後半からはソ連体制の支持に転じて帰国、ソ連を代表する文化人と位置づけられました(かつて「ゴーリキー」という名前の都市があったのを覚えている方も多いでしょう)。しかし、ソ連崩壊後はスターリンとともに批判の対象となり、その権威は失墜してしまいます。しかし、ゴーリキーは忌避され、忘却されていくべき作家なのでしょうか。

今回の読書会では、激しく浮き沈みしたゴーリキーの生涯をたどりつつ、一方で変わることがなかったその作品の価値と魅力について、ロシア文学者の中村唯史さんにたっぷり語って頂きます。

(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)

 

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会 #80
ロシアとソ連をつなぐ作家ゴーリキーの傑作短篇集『二十六人の男と一人の女』の魅力
訳者・中村唯史さんを迎えて
『二十六人の男と一人の女 ゴーリキー傑作選』ゴーリキー/中村唯史《日時》2022年6月24日(金)18:30~20:00
《会場》Zoom(オンライン)
《参加費》無料
《参加方法》2022年6月3日(金)~6月24日(金)18:30の間、紀伊國屋書店ウェブストアにて、参加お申し込みを承ります。応募人数が予定を超えた時点で締切とさせていただきますのでご了承くださいませ。 ※ご案内メールを当日までにメールでご連絡します。メール配信日:6月20日・24日の2回
お申し込みについて、詳しくは 紀伊國屋書店ウェブサイトをご覧ください
[中村唯史(なかむら・ただし)さんプロフィール]
1965年北海道生まれ。東京大学大学院人文科学研究科露語露文学専攻博士課程退学。モスクワ大学留学、山形大学教授などを経て、現在、京都大学教授。専門はロシア文学・ソ連文化論。共編著に『再考ロシア・フォルマリズム』『映像の中の冷戦後世界』『自叙の迷宮』ほか。翻訳に『オデッサ物語』(バーベリ)、『恐怖の兜』(ベレーヴィン)、『ハジ・ムラート』(トルストイ)、『トレブリンカの地獄』(グロスマン、共訳)など。
中村唯史さんのプロフィール詳細(光文社古典新訳文庫での訳書一覧)
[駒井稔(こまい・みのる)さんプロフィール]
1956年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。’79年光文社入社。広告部勤務を経て、’81 年「週刊宝石」創刊に参加。ニュースから連載物まで、さまざまなジャンルの記事を担当する。’97 年に翻訳編集部に異動。2004 年に編集長。2 年の準備期間を経て’06 年9 月に古典新訳文庫を創刊。10 年にわたり編集長を務めた。著書に『いま、息をしている言葉で。――「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』(而立書房)、『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)、『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』(書肆侃侃房)がある。