2022.07.08

【Zoom配信】紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#81 型破りで奇抜な手法が刺激的。ブラジル文学の秘められた大傑作、『ブラス・クーバスの死後の回想』の魅力 訳者・武田千香さんを迎えて

武田千香さん

古典新訳文庫の数あるラインナップのなかでも“異色”とも言えるのが、このブラジル文学の古典、『ブラス・クーバスの死後の回想』です。ブラジルの文学百選を募ると、必ず上位に入り、同じ作者の『ドン・カズムッホ』とともに首位を争うこともあるというメジャーな作品なのですが、作者のマシャード・ジ・アシスは、残念ながら日本のみならず世界においても、作品の高い質にふさわしい知名度を獲得していません。ポルトガル語で書かれているのがその大きな理由です。それでも、複数の高名な批評家が世界の重要な作家に挙げていて、特にスーザン・ソンタグはあるインタビューで、「19世紀の主要な作家の一人、ラテンアメリカ最高の作家だ」と称賛しています。

死んでから作家となった書き手が、自らの人生で起きた出来事をつづる。カバにさらわれ、始原の世紀へとさかのぼった書き手がそこで見たものは......。とんでもなくもおかしい、かなしくも心いやされる物語で、ありふれた「不倫話」のなかに、読者をたぶらかすさまざまな仕掛けが施されています。160もの比較的短い章(断片)で構成され、章の一つ一つで主人公の人生のある局面が描かれます。物語の設定や奇抜な構成から“実験小説”のように思われるかもしれませんが、ではこの手法を作者はどのようにして生み出したのか。また、そこに込められている意図は何か。今回の読書会では、ブラジルという国、文化のふところの深さも含めて、本作品の魅力を訳者の武田千香さんにたっぷりと語っていただきます。

(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)

 

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会 #81
型破りで奇抜な手法が刺激的。ブラジル文学の秘められた大傑作、『ブラス・クーバスの死後の回想』の魅力 訳者・武田千香さんを迎えて
『ブラス・クーバスの死後の回想』《日時》2022年7月29日(金)18:30~20:00
《会場》Zoom(オンライン)
《参加費》無料
《参加方法》2022年7月8日(金)~7月29日(金)18:30の間、紀伊國屋書店ウェブストアにて、参加お申し込みを承ります。 ※ご案内メールを当日までにメールでご連絡します。メール配信日:7月25日・29日の2回
お申し込みについて、詳しくは 紀伊國屋書店ウェブサイトをご覧ください
[武田千香(たけだ・ちか)さんプロフィール]
東京外国語大学教授。文学を中心にブラジルの文化を研究する。主な訳書にマシャード・ジ・アシス『ブラス・クーバスの死後の回想』『ドン・カズムッホ』、オスカール・ナカザト『ニホンジン』、J.アマード『果てなき大地』、シコ・ブアルキ『ブダペスト』、P.コエーリョ『ポルトベーロの魔女』、著書に『千鳥足の弁証法』、『ブラジル人の処世術』、『ブラジルのポルトガル語入門』ほか、編書に『現代ポルトガル語辞典』などがある。
武田千香さんのプロフィール詳細(光文社古典新訳文庫での訳書一覧)
[駒井稔(こまい・みのる)さんプロフィール]
1956年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。’79年光文社入社。広告部勤務を経て、’81 年「週刊宝石」創刊に参加。ニュースから連載物まで、さまざまなジャンルの記事を担当する。’97 年に翻訳編集部に異動。2004 年に編集長。2 年の準備期間を経て’06 年9 月に古典新訳文庫を創刊。10 年にわたり編集長を務めた。著書に『いま、息をしている言葉で。――「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』(而立書房)、『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)、『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』(書肆侃侃房)がある。