2023.03.07

【Zoom配信】紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#88
作者自身の“内的自画像”ともいえる、一人の青年が語る「偶然の家族」の物語
ドストエフスキー『未成年』の魅力
  訳者・亀山郁夫さんを迎えて

亀山郁夫さん主人公は二十歳の青年アルカージー。複雑な出生のもと、父母とは無縁に自らの人生を切り開いてきた彼の前にとつぜん現れる実父。かつてその父を愛した女性。そして放浪のすえ戻った戸籍上の父マカール老人ら、魅力ある登場人物たちが複雑な人間関係を織りなし、そのなかで主人公が成長していく姿を描いたのが、今回取り上げる『未成年』です。

本作は、暗示に次ぐ暗示という手法と主人公の「手記」という形式から、長く「失敗作」という烙印を押され続けてきたのですが、本当にそうなのでしょうか。

ロスチャイルドになる理想を抱きつつも、贅沢三昧、ルーレットに耽る放蕩の日々を重ねてしまうアルカージーが、実父ヴェルシーロフとの熱く長い会話、愛の駆け引き、そしてマカール老人の数奇な放浪譚と信仰(カラマーゾフの兄弟のゾシマ長老を連想させます)に触れて辿りついた先は……。

今回の読書会では、ドストエフスキー五大長編の個人全訳を完結させた訳者の亀山さんに、本作の魅力と読みどころについて、また一人称小説という試みの意義についても、たっぷりと語っていただきます。


(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)

『未成年』

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会 #88
作者自身の“内的自画像”ともいえる、一人の青年が語る「偶然の家族」の物語  ドストエフスキー『未成年』の魅力 訳者・亀山郁夫さんを迎えて
『未成年 3』 ドストエフスキー/亀山郁夫訳《日時》2023年3月24日(金)18:30~20:00
《会場》Zoom(オンライン)
《参加費》無料
《参加方法》2023年3月7日(火)~2023年3月24日(金)18:30の間、紀伊國屋書店ウェブストアにて、参加お申し込みを承ります。 ※ご案内メールを当日までにメールでご連絡します。メール配信日:3月20日・24日の2回
お申し込みについて、詳しくは 紀伊國屋書店ウェブサイトをご覧ください
[亀山郁夫(かめやま・いくお)さんプロフィール]
1949年生まれ。名古屋外国語大学学長。東京外国語大学名誉教授。ドストエフスキー関連の研究のほか、ソ連・スターリン体制下の政治と芸術の関係をめぐる多くの著作がある。著書に『新カラマーゾフの兄弟』『謎とき「悪霊」』『ドストエフスキー父殺しの文学』『大審問官スターリン』『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』ほか多数。訳書に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『白痴』『未成年』『賭博者』『地下室の記録』(以上、ドストエフスキー)などがある。
亀山郁夫さんのプロフィール詳細(光文社古典新訳文庫での訳書一覧)
[駒井稔(こまい・みのる)さんプロフィール]
1956年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。’79年光文社入社。広告部勤務を経て、’81 年「週刊宝石」創刊に参加。ニュースから連載物まで、さまざまなジャンルの記事を担当する。’97 年に翻訳編集部に異動。2004 年に編集長。2 年の準備期間を経て’06 年9 月に古典新訳文庫を創刊。10 年にわたり編集長を務めた。著書に『いま、息をしている言葉で。――「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』(而立書房)、『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)、『私が本からもらったもの 翻訳者の読書論』(書肆侃侃房)がある。