緑の服、弓の名手、義賊団のリーダー……中世イングランドのシャーウッドの森に住んだという伝説の人物、ロビン・フッド。その武勲や恋の駆け引きは物語詩「バラッド」として吟遊詩人たちに歌い継がれてきました。1883年にハワード・パイルが多くの伝説を元に、児童向けの小説『ロビン・フッドの愉快な冒険』としてまとめると、その物語は英国のみならず世界中で愛されるようになりました(パイルはアメリカの作家なのです)。強欲な役人や聖職者をあざわらうかのようなロビンらアウトローたちの活躍は痛快で、これまで何度も映画化され、ショーン・コネリー、ケヴィン・コスナー、ラッセル・クロウ、タロン・エガートンといった名優たちも、それぞれの映画でロビンを演じています。
光文社古典新訳文庫の『ロビン・フッドの愉快な冒険』では、三辺律子さんの新訳により、よりリズミカルで読みやすいものになり、ロビンと仲間たちがより生き生きと森を闊歩し、豪快な笑い声が聞こえてくるように感じます。今回の読書会では、時代を超えて愛される本作の魅力と読みどころ、著者パイルについて、そして児童文学の翻訳について、三辺さんに語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)