フローベールら19世紀フランスの文人たちに愛された作家テオフィル・ゴーティエ。ボードレールが「フランス文学の完璧な魔術師」と形容し、『悪の華』の献辞を捧げたことでも知られています。また、バレエに詳しい方は、名作『ジゼル』の台本共同執筆者としてその名を覚えているかもしれません。
絢爛豪華な幻想文学の短篇・中編を多く書き残し、時代を超えて多くの読者、批評家にも愛されてきた作家です。今回、光文社古典新訳文庫から刊行したのは、そんなゴーティエによる一線を越えた「妖しい恋」の物語3篇です。
その「妖しい恋」の物語に使われているのが、「魂の入れ替わり」や「タイムスリップ」といった特別に奇想というわけではない、どこかで読んだ(あるいは見た)覚えのある題材。ところが、ゴーティエの物語は、いわば「類似品」とは一線を画した魔術的なおもしろさを備えています。そのゴーティエらしさはどこから醸し出されているのでしょうか。
今回の読書会では、この作品を新訳した永田千奈さんをお招きし、その物語の魅力はどんな細部(テクニック)に隠されているのかについてたっぷり語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)