ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』といえば、誰もが知る児童文学。竜巻で家ごと魔法の国に飛ばされた女の子ドロシーと愛犬トト、道中に出会うかかし、ブリキの木こり、臆病なライオン、東西南北の魔女など、ユニークな登場人物たちが繰り広げる物語は、1900年に刊行されると、すぐに多くの子どもたちの心をつかみ、世界中で愛されるベストセラーとなりました。その陽気でカラフルな世界観は、舞台化や映像化でも存分に生き、1939年のジュディ・ガーランド主演映画や、マイケル・ジャクソンも出演する『ウィズ』など多くの名作をも生み出しました。
『オズの魔法使い』はなぜこれほど多くの読者に愛され、大成功を収めたのでしょうか。昨年、光文社古典新訳文庫から刊行された新訳版の翻訳家・麻生九美さんの解説によると、『オズの魔法使い』にはそれよりも前に書かれた児童文学とは大きく異なる点、画期的ともいえる違いがいくつかあるようです。今回のトークショーでは麻生九美さんに、本作のなりたちから、今日にも続く魅力まで、たっぷり語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)