ついに韓国文学が、光文社古典新訳文庫のラインナップに入ります! 記念すべき一冊目は、1920年代に創作活動を行った李箱(イサン)の作品集。李箱は韓国で最も権威ある文学賞にその名を冠される作家で、李箱文学賞の受賞者には現代韓国文学シーンで活躍する名だたる作家たちがその名を連ねています。
では、李箱とはどのような作家かといえば、「孤高のモダンボーイ」「断絶のモダニスト」とひとまずは呼ぶことができるでしょう。近代化・植民地化の進む朝鮮半島にて、新しい言葉と新しい文学を求めたのが李箱でした。その作品は、新聞社へのクレームで連載が中止となるような叙情を排した難解な詩であったり、芥川龍之介や横光利一の影響がうかがえる都市小説であったり、ほろりとするような随筆や童話など、また絵心を活かした挿画なども含めて多ジャンルにわたります。そして、そこには先達もいなければ、後継者も続かない「破格さ」があり、死後、朝鮮戦争の休戦後に熱狂的な人気を博す要因ともなりました。そんな李箱の小説、詩、日本語詩、随筆、書簡等を収めたのが、今回の『翼 李箱作品集』です。
今回の読書会では、そんな韓国文学史上で最も伝説に満ちた作家の魅力を、新訳に挑んだ翻訳者・斎藤真理子さんにたっぷり語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)