吸血鬼、ヴァンパイアと聞いて、誰もがまず思い浮かべる名前といえば、「ドラキュラ」でしょう。さまざまな映画やアニメにも登場し、日光を避けて棺桶に眠り、ニンニクや十字架を嫌う典型的なキャラクターはおなじみです。しかし、その大本となった原作小説を読んだことがある人は実は多くはないのではないでしょうか。
というのも原作はかなり分量の多い作品で、今年10月に発売された光文社古典新訳文庫版でも800ページを超える大著となっています。とはいえ、今回の読みやすい新訳により、この小説のダイナミックな展開や、登場人物たちの心理がより明快になり、原作により親しみやすくなりました。
今回の読書会では、訳者の唐戸信嘉さんに、本作の魅力をたっぷり語っていただきます。また今回の『ドラキュラ』は、8月刊のゴーティエ『死霊の恋/化身』に始まり12月刊レ・ファニュ『カーミラ』へと連なる、光文社古典新訳文庫の吸血鬼文学連続刊行企画のうちの一作です。『ドラキュラ』以前・以後の吸血鬼文学の系譜についても、唐戸さんに詳しく解説していただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)