2024.10.05

連載コラム「“不実な美女”たち──女性翻訳家の人生をたずねて」が本になります。

光文社古典新訳文庫サイトで「“不実な美女”たち──女性翻訳家の人生をたずねて」というウェブ連載を始めたのは、2014年3月のこと。

〈幼少期や少女時代に第2次世界戦争を体験し、翻訳者も編集者も男性が圧倒的だった時代に出版界に飛び込み、半世紀以上も翻訳をしてきた女性たちがいる。暮らしぶりも社会背景も出版事情も大きく変化したなかで、どのような人生を送ってきたのだろうか。かつては"不実な美女"と翻訳の比喩に使われたが、自ら翻訳に向き合ってきた彼女たちの軌跡をお届けする。〉という案内文(リード)とともに、小尾芙佐さん、中村妙子さん、深町眞理子さん、松岡享子さんのインタビュー記事を掲載してきた。

時代の雰囲気を伝える写真や先人が手がけた翻訳書の表紙、4人の皆さんがいま翻訳なさっている本のこと、原作者との交流や関連イベント情報なども紹介している。

毎回読んでくださり、感想や応援メッセージを寄せてくれた皆さんに心から感謝したい。とはいえ、連載開始当時、インターネットを使いこなす人は、今より多数派ではなかった(気がする)。連載を読んで「やっぱり紙の本で読みたい」とおっしゃってくれる方もいた(ありがたや)。ご登場してくだった翻訳家ご自身も、本ならば書いてもいいけれど、ネットというのはよくわからなくて……と戸惑いをもつ方もいらした。

というわけで、単行本にすることになった。

第1部は、光文社古典新訳文庫ウェブ連載をもとにして、一部加筆・修正したりスタイルを変えたりして、4人の方々の軌跡を収めた。第2部では、単行本のための書き下ろしとして、私が出会った3人の「翻訳する女たち」──加地永都子さん、寺崎あきこさん、大島かおりさんの思い出を綴った。エトセトラブックスという出版社から刊行。お手にとってお読みいただければ幸いです。

(大橋由香子)


後日「“不実な美女”たち──女性翻訳家の人生をたずねて」に掲載していた貴重な写真などをまとめたページを公開しますのでお楽しみに!


『翻訳する女たち 中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子』エトセトラブックス
翻訳する女たち
中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子
大橋由香子 著
エトセトラブックス
価格:2,400円+税
11月18日刊行予定
版元ドットコム