今から半世紀以上前の1962年に刊行と同時に大反響を呼び、大ベストセラーとなった『沈黙の春』。自然を愛する友人からの手紙と、鳥の姿が消えたことを訴えた市民の声をきっかけに生まれた本書は、環境保護の先駆となった名著です。
著者のレイチェル・カーソンは、農薬の大量散布による健康被害と自然破壊を詳細に調査し、社会に警鐘を鳴らしました。本書をきっかけに農薬規制が見直されたのはもちろん、有機農法の普及、さらにはエコロジー思想のその後の展開にも大きな影響を与えました。そして、科学者としての知識とジャーナリストとしての使命感でもって彼女が訴えたメッセージは、その後世界の多くの人々に共有され、現在の環境保護活動にも受け継がれています。まさに歴史を変えた本と言えるでしょう。
今回の読書会では、サイエンスライターとして実績のある訳者の渡辺政隆さんをお迎えして、『沈黙の春』の読みどころとその魅力について語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)