「アメリカ・ファースト」をスローガンに第1期を務めたトランプ大統領の2期目が、この1月から始まります。そして、再来年2026年にはアメリカ合衆国は独立250周年を迎えます。今回取り上げるのは、アメリカを独立へと導いたトマス・ペインの『コモン・センス』です。
イギリスと植民地アメリカの関係が悪化するなか、独立か和解かで揺れるアメリカ世論に対し、ペインは軍事的、経済的、外交的な理由を挙げて、独立以外の道はないと訴えました。そして本国からの圧政に苦しむ市民を鼓舞し、世論を独立へと決定づけました。共和政を理想とするペインは、本書で自国イギリスの王政、世襲制の非合理性を暴いて痛烈に批判しますが、その後もフランス革命を批判したE・バークの『フランス革命についての省察』を論駁する『人間の権利』を著すなど、一貫して共和政を擁護しました。
今回の読書会では、訳者の角田安正さんをお迎えして、この世界を変えた小冊子『コモン・センス』の衝撃の大きさとペインの思想、行動ぶりなどについて語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)