光文社古典新訳文庫ではプラトンの作品はこれまでに7タイトルを刊行していますが、この読書会で取り上げるのは『ソクラテスの弁明』以来、2回目になります。『弁明』はソクラテスのひとり語りですから、今回の『メノン』がプラトンの対話篇としては初めてになります。
20歳の青年メノンがソクラテスに「徳(アレテー)は教えられるものでしょうか?」と問いかけますが、逆にソクラテスから「徳(アレテー)とは何か?」と切り返されてしまいます。そしてその後、学問や魂、善をめぐって議論は進んでいきます。西洋哲学の豊かな内容がかたちづくられた重要な問いがここから生まれた、と言えるのがこの『メノン』という作品です。
今回の読書会では訳者の渡辺邦夫さんをお迎えして、プラトン哲学はもちろん、ギリシャ哲学においてもっとも重要な概念である徳(アレテー)について、また初期から中期、後期に至るまでのプラトン対話篇の見取り図にもふれながら、この初期対話篇の傑作である『メノン』の魅力について語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)