内ゲバ殺人、少女凌辱、火事、大量死......ドストエフスキー最大の問題作『悪霊』。 作家はなぜ「自分の魂から取り出してきた」と書いたのか―― 善と悪の基準を失い罪を背負う主人公スタヴローギンをめぐり、この2月に新訳を完結した亀山郁夫さんとロシアにおけるドストエフスキー研究の第一人者リュドミラ・サラスキナさんが、ドストエフスキーと小説の「魂」に迫ります。
光文社新書 著:亀山郁夫,リュドミラ・サラスキナ 価格:¥ 924(税込み) 2012年4月17日発売《悪霊全3巻+別巻》
『悪霊1』
ドストエフスキー/亀山郁夫 訳
定価(本体895円+税)(2010.9.9刊)
最近わたしたちの町で、奇怪きわまりない事件が続発した。町の名士ヴェルホヴォンスキー氏とワルワーラ夫人の奇妙な「友情」がすべての発端だった......。やがて、夫人の息子ニコライ・スタヴローギンが戻ってきて、呼び寄せられるように暗い波乱の気配が立ちこめはじめる。
『悪霊2』
ドストエフスキー/亀山郁夫 訳
定価(本体1,143円+税)(2011.4.12刊)
町でささやかれる怪しげな噂は、大きな出来事の前ぶれだった。1人が狂い、2人が燃えあがり、5人が密議をめぐらし、そしてみんな取り憑かれていく。暗い夜が育む悪意の芽。ついに明らかになった、ピョートルの真の狙いとは。アカデミー版「スタヴローギンの告白」初訳を含む。
『悪霊3』
ドストエフスキー/亀山郁夫 訳
定価(本体1,105円+税)(2011.12.8刊)
街はいよいよ狂乱に向かって突っ走りはじめた。まずは県知事夫人ユーリアの肝いりによる「慈善パーティ」で、何かが起こる気配。その背後では着々と陰謀が進行し、「五人組」の活動も風雲急を告げる。ワルワーラ夫人とヴェルホヴェンスキー氏、スタヴローギンとリーザの「愛」の行方は?
『悪霊別巻「スタヴローギンの告白」異稿』
ドストエフスキー/亀山郁夫 訳
定価(本体895円+税)(2012.2.14刊)
「スタヴローギンの告白」として知られる『悪霊』第2巻「チーホンのもとにて」には、3つの異稿が残されている。本書ではそのすべてを訳出した。さらに近年のドストエフスキー研究のいちじるしい進化=深化をふまえ、精密で画期的な解説を加えた。テクストのちがいが示すものは何か?