江戸糸あやつり人形座「マダム・エドワルダ―君と俺との唯物論―」がザムザ阿佐谷で公演中です。
人形劇化された『マダム・エドワルダ』と思って、いざ芝居が始まると予想と違う!と驚くかもしれません。全編人形劇ではもちろんなく、劇中の一部が人形劇になっているのでもありません。人形の遣い手は黒衣として(人形浄瑠璃のように)ではなく、人形を操りながら同時に役者としてせりふを言い、演じます。 舞台上に同時に存在している役者と人形によって、バタイユの世界を複眼的に観ることを促される舞台かもしれません。
音楽は生のウッドベースのみ。弦の響きだけではなく、楽器の側面をたたいたり、さすったりして出されるひずんだ音が、「エドワルダ」と「私」の体がこすれ合う音のようでとても艶かしい...。そして2体の人形と美加里さんが演じる3人3様の「エドワルダ」。美加里さんの美しさに圧倒されました。人形と人が織りなす陰影に富んだ演劇を体験しに、ぜひザムザ阿佐ヶ谷へ足をお運びください。
そして毎回公演終了後にトークセッション《バタイユをめぐる6講+1》が予定されています。初日のゲストは宇波彰さん(哲学者・評論家)。ナチが台頭したドイツからパリへ逃れたベンヤミンを助けたバタイユ。2人の関係を端緒に、バタイユをめぐる20世紀の思想家たちの関係性を、あたかも星座の配置のように語られるお話は、1時間弱の予定時間では収まりきらない刺激的な内容でした。
今後も連日豪華なラインナップです。
初日の開演を待つ演出の大岡淳さん。開演10分前の劇場はすでにほぼ満席状態。
会場では『マダム・エドワルダ』だけでなく、中条省平さん訳のジュネ『花のノートルダム』や野崎歓さん訳『うたかたの日々』など古典新訳文庫のフランス文学のラインナップを多数販売していただいています。