夏のゆったりした時間のなかで、豊穣な文章をじっくり味わってみたいと思いませんか? それにぴったりな作品がプルースト『失われた時を求めて』です。でもその長大さの前にたじろいでしまったり、途中で挫折してしまったりという人も多いはず。そんな人はまず関連書から読んでみてはいかがでしょうか。
『プルーストと過ごす夏』(光文社刊)は、一流の読み手・書き手である8人の研究者が『失われた時を求めて』の文章を引きながら、その魅力や特徴、読みどころを、それぞれの視点から解説するプルースト入門の決定版です。元々ラジオ番組から生まれたこの本は、本国フランスではベストセラーとなりました。
本篇の独特の文体に挑戦する前に、まずはそのエッセンスを気軽に味わってみたいという方には、漫画家ステファヌ・ウエによる『失われた時を求めて フランスコミック版 スワン家のほうへ』(祥伝社刊)もお薦めです。フランスでは教科書としても採用され、10万部以上売れているといいます。
今回の読書会では、『プルーストと過ごす夏』と『失われた時を求めて フランスコミック版』それぞれを翻訳された國分俊宏さんと中条省平さんをお招きし、両書がフランスで大好評である理由や、『失われた時を求めて』に一般読者がどのように向き合えばよいのかといったことについて語り合って頂きます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)