1848年の刊行以来、演劇やオペラ、そして映画にバレエ、ミュージカルにとさまざまな形で再現され、世界でもっとも愛されている小説が『椿姫』です。パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る美貌の高級娼婦マルグリットは、ある日青年アルマンと出会います。アルマンの誠実さにこたえるうち、真実の愛に目覚めた彼女は享楽的な生活を捨て、パリ近郊の別荘で二人は暮らし始めるのですが、そこに訪ねて来たのはアルマンの父でした......。物語の始まりにあるマルグリットの墓を掘り起こすシーンからして衝撃的です。アルマンの父による説得と彼女の決断。愛憎半ばするパリに戻ってからの生活。そして結末で明かされる衝撃の真相は、涙なくしては読めません。今回の読書会では、この『椿姫』の魅力について、翻訳者の永田千奈さんに語ってもらいます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)