ガスコンの青年隊シラノは、詩人で軍人、心優しいけれど二枚目とは言えない大鼻の持ち主。秘かに想いを寄せる従妹ロクサーヌに恋した美男の同僚クリスチャンのために、自作の恋文で代わりに告白するのですが......。 『シラノ・ド・ベルジュラック』はその「恋の言説」、長大なセリフが聞きどころのお芝居で、過去にはジャン=ポール・ベルモンド、ジェラール・ドパルデュー、平幹二朗、江守徹、仲代達矢ほか錚々たる俳優が演じるなど、世界的な人気を誇るフランスロマン派演劇の傑作(ロスタン作)です。
今回の読書会では、演出家でもある訳者の渡辺守章さんをお招きし、超絶技巧とも言われるシラノの長台詞を軸に、同じロマン派劇の『ロレンザッチョ』(ミュッセ作)もあわせて取り上げ、読みくらべ、聞きくらべてこの2大傑作の魅力について語ってもらいます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)