魅惑的な美貌と肉体を持ったアリシアを運命の恋人としたエウォルド卿。だが彼は、やがて彼女のあまりの軽薄さに幻滅してしまう。絶望の淵にあった彼に手をさしのべたのは、彼に恩義を感じていたエジソンだった。偉大な発明家はついに、アリシアを完璧に模した肉体に高貴な魂をそなえた機械人間を〈ハダリー〉生み出すが......
現代的な意味での「アンドロイド」を初めて登場させたことで知られる小説『未来のイヴ』。19世紀後半のパリで、科学技術の発展を目の当たりにした作者ヴィリエ・ド・リラダンは、科学に対して相半ばする思いを抱いていたようですが、彼の書き上げた『未来のイヴ』はその後のSF小説やアニメーション、ゲームなどにも多大な影響を与えることになりました。本作はなぜこれほどまでに人を惹き付けることになったのでしょうか。
今回の読書会では、訳者の高野優さんをお招きし、本作をお選びになった理由、これまで翻訳されてきたヴェルヌなどの古典作品との違い、そして本作の魅力について、たっぷりと語ってもらいます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)