「この書物はまさに、ピストルが発射されてから被害者が死ぬまでに経過した二四時間の物語だ」(『消しゴム』原書・解説より)
20世紀中盤、フランスで沸き起こった文学運動〈ヌーヴォー・ロマン〉。その旗手ロブ=グリエの代表作『消しゴム』は、安部公房やポール・オースターなど世界中の作家たちに大きな影響を与えたと言われています。読みやすい新訳で甦った本書を読むと、この作品が既存の小説の枠を利用しつつも、実に型破りで、野心的な作品であることがわかります。作者ロブ=グリエはその後も文学における創作を続けた一方、1960年代には映画製作にも乗りだし、スキャンダラスな作品群で話題となりました。
しかし、なぜロブ=グリエはこのような活動を始め、何を目指したのでしょうか。またヌーヴォー・ロマンの熱狂から半世紀が経過した現在も色あせないロブ=グリエ作品の魅力の秘密はいったいどこにあるのでしょうか。今回の読書会では、『消しゴム』の翻訳者であり、映画評論でも知られる中条省平さんをお招きし、ロブ=グリエ・ワールドについてたっぷり語って頂きます。
なお、ロブ=グリエが映画監督を務めた6作品を公開する「アラン・ロブ=グリエ・レトロスペクティブ」が11月下旬より全国順次開催されます。その予習としてもぴったりのトークショーです。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)